「半ば諦めていましたしたが、狐につままれた気持ち」
今回の患者さんは尾道市因島土生町からお越しの『痛くて5分も歩けない』お悩みを持った方の経過です。
先天性股関節脱臼で小さい頃からギプスをして過ごす時間が多かったそうです。
若い頃から疲れやすく、よく転倒をしていました。
そのため、姿勢も悪く、早くから腰や痛肩コリにも悩んでいたそうです。
17年前に、適齢期になったということで股関節の人工関節置換術を行い一時的に股関節の痛みは減ります。
10年前には、リウマチのため手の指の手術を行います。
この頃はまだ30分は歩けています。
4年前には、強烈な尻もちをついて座れなくなるほどの腰椎ヘルニアを起こし、ブロック注射で一時的な除痛は出来るが、痛み止めの薬は効かない状態になります。
1年前には、足の裏にタコが出来て装具なしには歩けなくなりました。
歩けても5分、日に日に身体が弱くなっている状態です。
この時には、本当に辛くて動けず、このまま歩けなくなるという恐怖。
そして、怠くて怠くて仕方ない、痛いは仕方がないと諦めた気持ちになっています。
しかし、介護の仕事に加え、3年前から母親の介護もやらなくてはならなくなります。
買い物に行くのもカートに頼りながら何とか歯を食いしばりながら行く状態です。
マッサージを受けたり、足を持ち上げる整体に行くものの、改善しているとは思えません。
そして1ヶ月まえに痛みや怠さのピークを迎え、このままでは本当に寝たきりになると不安になります。
そんな時、福山市に良い整体があると聞き、土日も営業していて休みの日に通えるので来院しました。
この方が、当院に通って40分歩けるようになるまでの回復の経過をお伝えします。
診療時間は 月、水、木、土、日 9時〜12時、15時~19時 休診:火、金、祝 完全予約制 |
患者さんの状態を紹介
・お悩み:【坐骨神経痛】左足のシビレと痛怠さ、背中の張り、5分も歩けない
・年齢性別:64歳 女性
3年前からの母の介護で、起こす時に自分の腰も痛くなり大変。
仕事も介護で、自分でもバタバタ動いているが、若い人に頼ってしまうのも気になる。
昔から少しのことで態勢を崩してしまい何度も転倒を繰り返している。
乳幼児の頃から左股関節の問題で小学生頃にはギプスのような装具で固定されていた。
医師は「あまり早くから人工骨頭を入れないほうが良い」との判断で47歳で人工関節置換術と骨の長さを合わせるために2cm骨を短くされている。
息子がスポーツトレーナーの資格を持っていてストレッチや体操を教えてもらうが上手く出来ず、高齢で筋力が足りないせいだと言われる。
身体を動かさないと駄目だと自他共に思っているが、分かっていても辛くて横になっていることが多い。
足がむくみ過ぎて医師には歳のせいだと言われるが気になっている。
原因を推測
結論から言うと、退行性変性に、転倒による歪みが加わったものです。
乳幼児の頃から股関節に問題を起こす理由で考えられることは、
・極稀だが先天的に損傷
・出産時に難産のため引っ張られて損傷
・おしめを替える時に足を引っ張られ過ぎて損傷
・脚をまっすぐに伸ばした状態を強制されて損傷
このような状態が考えられます。
これに加えて、祖父母が常に近くにいてハイハイ不足から股関節の成長を阻害されたと考えられます。
それでも、よく動けていれば良いのですが、小学生の頃から装具をつけて動きを制限されると股関節は成長できないことが多いです。
ただ、大人の頃よりよく動けていた子供の頃は痛みもなく過ごせていました。
大人になると活動量は減り、痛いから動かない、装具に頼りすぎて身体が弱る、などを重ねて片側をよく使う癖をつけてします。
そして安定感も悪くなり転倒を繰り返したりして骨格に問題を起こしていると考えました。
つまり、今回の症例は退行性変性です。
身体は、どんな部分でも使われなくなると退化していきます。
そこに重力が合わさり不正な動きを続けて負傷してしまいます。
腰や股関節が正しく使われず、身体を動かす機会は少ないため他の部位へも損傷は広がります。
実際に、目に見える足首の部分も大きく捻じれています。
左足は手術により2cm短くなり、両かかとはアンダープロネーションを起こしている
傾いた骨格により筋肉や神経は引き伸ばされ痛みやシビレを引き起こします。
この状態で歩くと、足を捻って歩くため足にマメを作ります。
強く捻るようになると魚の目に似た痛みを現してしまうのです。
また、身体を動かさないことで重力に対抗する力も減り疲れやすくなります。
施術の方針とその結果
この方は、人工骨頭置換術の手術を受けています。
従ってこの手術を受けた後の状態には戻せると私は考えています。
当院の施術方針は、身体のバランスを崩す原因を減らし、同時にバランスを保てる身体を作ります。
今回もこれに沿って回復の計画を立て進めました。
まず身体に歪みを生む力を抜き、骨格の調節を行い、元に戻らない様に滑らかな関節にします。
そのための施術、体操、運動により体を変えていきます。
初回は保存療法として骨盤、踵の施術を中心に行いました。
こうして動きやすさを出して馴染ましてもらう四つ這い運動を行ってもらいます。
施術後から効果を実感していただけました。
リハビリのトレーニングはその人に合ったものをやる必要があります。
この方の場合、立つ、座る、歩くとなどの基本動作を行えていないため、発達学に基づいて四つ這いの運動を行いました。
しっかりとお伝えしたセルフケアに取り組んでいただきました。
そうすると、施術の効果が切れる4日後でも良い状態を保てています。
1週間後には痛みは10➞4となります。
5分しか歩けなかったのが10分に増加します。
骨格の歪みを減らす施術と身体をうまく使うリハビリを引き続き行いました。
身体を自分で悪くしないために、自分に合った座り方や立ち座りの動作改善を行います。
3週目には30分を超えて歩く挑戦をしてもらいます。
4週目に来られた時には達成されていました。
このように、その方にあったセルフケアとなる運動を用意して最短でよくなる道を進めます。
もし、あなたが一時しのぎの対策を繰り返し、悪化させ、間違った取り組みをしていると気がつき、自分ではどうしようもないと思った時には当院へご相談ください。